研究会のあゆみ

当プロジェクトの活動の中心である研究会「近代日本の日記文化と自己表象」は、2014年9月に第1回を企画したのち、2、3ヶ月に1回の頻度で定期開催しています。報告者の専門分野は、歴史学、文学、思想史学、教育史学、社会学、文化人類学など多様です。

過去の開催記録を以下に掲載いたしますので、研究会のあゆみとしてご参照ください。次回研究会のご案内は、最新情報でご確認ください。

第35回(2023年3月4日)
「「修養日記」としての国木田独歩『欺かざるの記』――同時代言説に基づく試論」(肖羿、清華大学大学院日本語学科博士課程)
特別講演:「11年間の育児日記を再読して 回想録『わたしは思い出す』制作の現場から」(松本篤、AHA! [Archive for Human Activities/人類の営みのためのアーカイブ])

第34回(2022年12月10日)
共催:国立歴史民俗博物館共同研究(基盤研究)「近代東アジアにおけるエゴ・ドキュメントの学際的・国際的研究」
「1799年の伝染病の大流行と個人の記憶 柳懿睦(1785~1833)の「河窩日錄」を中心に」(金貞雲、韓国国立慶北大学校専任研究員)通訳=魯洙彬(東京大学大学院総合文化研究科博士課程)
「中国におけるエゴ・ドキュメントの研究動向について」(王羽萌、立教大学大学院文学研究科博士後期課程)

第33回(2022年9月24日)
特別企画:NHKスペシャル「新・ドキュメント太平洋戦争』制作の現場から
「“エゴドキュメント”で伝える戦争 番組制作を通して感じた日記の持つ力と課題」(酒井有華子、NHK報道番組センターディレクター, 長野怜英、NHKプロジェクトセンターディレクター)

第32回(2022年7月30日)
書評会:田中祐介編『無数のひとりが紡ぐ歴史 日記文化から近現代日本を照射する』(文学通信、2022年)
導入の部:『無数のひとりが紡ぐ歴史』の概要説明 田中祐介(明治学院大学専任講師・国立歴史民俗博物館客員准教授)
書評の部
大門正克(早稲田大学特任教授)、坪井秀人(早稲田大学教授)
編者と執筆者からの応答
総合討論
編集者の立場から 渡辺哲史(文学通信)・西内友美(文学通信)

第31回(2021年12月11日)
「日記の現場へ――澤田四郎作の『日誌』記述」(磯部敦、奈良女子大学研究院人文科学系准教授)
「昭和戦前期の会社における従業員一体化の論理の理解と内面化―株式会社湯淺七左衛門商店社内報『湯淺月報』店員寄稿欄を中心に」(鬼頭篤史、京都大学大学院博士後期課程研究指導認定退学)
特別企画:「「届けてくれてありがとう」ーー佐藤冨五郎日記を託された戦友をめぐる歴史実践」(大川史織、映画『タリナイ』『keememej』監督・国立公文書館アジア歴史資料センター調査員, 竹内麻子、毎日新聞社会部)

第30回(2021年9月15日) 特集:日記は歴史のトビラをどうひらくのか
「「日記文化」研究の来歴と展望 7年間の研究会活動の成果から」(田中祐介、明治学院大学専任講師)
「漢文日記の現代語訳をめぐって」(松薗斉、愛知学院大学教授)
「「リテラシーの起点」という視座 ー遊女の「日記」をどう読むか―」(横山百合子、国立歴史民俗博物館名誉教授)
  
コメンテーター:三上喜孝(国立歴史民俗博物館教授)

第29回(2021年7月24日)
「読書傾向調査の系譜 戦時下の読書調査・読書指導・読書日記」(和田敦彦、早稲田大学教育・総合科学学術院教授)
「尹紫遠日記と戦後日本 : “密航”朝鮮人の生活と文学」(宋恵媛、大阪市立大学文学研究科准教授)

第28回(2021年5月15日) 特集:昭和十年代の植民地教育における日記指導
「戦時下朝鮮人農村青年と植民地教育:二冊の学生日記を通して見た「1939年」」(小谷稔、京都大学農学研究科博士後期課程)
「満洲建国大学塾生日誌の教育的意義ー作田荘一副総長の教育方針下における日誌教育を中心としてー」(後藤杏、埼玉大学大学院人文社会科学研究科博士前期課程)

第27回(2021年3月6日) 特集:「日記文化」研究の視座から戦時下の少女絵日記を読み解く

  1. 総論
    「『私一人今日まで続けて来た』日記にみる少女の自意識と戦争表象」(田中祐介、明治学院大学教養教育センター専任講師)
  2. 戦時下の生活と身体
    「戦時下の地方都市における少女の暮らしー日記に見る模範的な『少国民』としての学校・家庭生活ー」(徳山倫子、日本学術振興会特別研究員PD)
    「銃後の少女の身体的な規範意識とその行動―同時期の日記との比較を通して―」(河内聡子、東北工業大学総合教育センター講師)
  3. 戦時意識と戦争参加
    「『大東亜戦争』開戦期における少女の戦時意識と戦争参加ー国民学校六年生の絵日記からー」(後藤杏、埼玉大学大学院人文社会科学研究科博士前期課程)
    「国民学校の『防人の歌』教育と『開戦の日』―戦時下の少女の日記 1941年12月8日条をめぐって―」(三上喜孝、国立歴史民俗博物館教授)
  4. 展望
    「戦時下の少女絵日記の可能性」(島利栄子、「女性の日記から学ぶ会」代表)

第26回(2020年12月12日)
「歴史の内と外に自己を探す旅 日米開戦前夜を旅したタイ人作家ブンチュワイ・シーサワットの『日本旅行記』から」(西田昌之、国際基督教大学アジア文化研究所研究員)
〈特別講演〉
「戦没学徒兵の日記原文に向き合うこと 『林尹夫日記 完全版』出版経緯とその所感」(山本捷馬、三人社)

第25回(2020年8月22日)
「随筆を抜書するということ―幕末・明治における「好古家」の編纂物作成の周辺―」(古畑侑亮、一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程)
「19世紀に日記をつづるということ-「家の日記」「集団の日記」時代の日記論-」(吉岡拓、明治学院大学教養教育センター准教授)

第24回(2020年7月11日)
「戦中戦後における農村出身兵士の時局認識ー愛知県大口町「前田功日記」を事例としてー」(鈴木乙都、愛知学院大学大学院)
〈戦時下日記の「並べ読み」の可能性〉
「銀行員の日記から」(鬼頭篤史、京都大学)
「結核予防会医師の戦中・戦後日記から」(金子元、秀明大学非常勤講師)

第23回(2019年12月14日) 特集:取り遺された研究リソース 直木賞作家・榛葉英治の日記から
「榛葉英治日記 研究の経緯と基本情報」(和田敦彦、早稲田大学教授)
「逡巡と決心の長期反復から時代を読む 榛葉英治日記からみる戦後小説メディアの変動」(田中祐介、明治学院大学専任講師)
「榛葉英治『乾いた湖』と映画化 日記の記述から」(中野綾子、明治学院大学助教)
「釣魚礼讃 「釣り」を書くことの文学的意識と、メディア的需要をめぐって」(河内聡子、東北大学専門研究員)

第22回(2019年7月6日)
「幸福は一夜遅れてやってくる––太宰治「女生徒」論––」(長藤菜々, 立教大学文学部学部4年生)
「大正期における社会教育と小学校教師―「長島重三郎日記」を手がかりに―」(真辺駿, 東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科博士課程)
「六週間現役兵の軍隊経験-『軍隊日誌』の記述と体裁から-」(堤ひろゆき, 上武大学ビジネス情報学部専任講師)

第21回(2019年5月11日)
「農村の「模範処女」としての自己表象―1920-30年代における県農会立女学校の生徒・卒業生作文を題材に―」(徳山倫子, 日本学術振興会特別研究員PD)
「自己記述の物語化における取捨選択と変容:漆芸家生駒弘のタイ滞在日記と自伝の比較から」(西田昌之, チェンマイ大学文学部日本研究センター助教授・国際基督教大学アジア文化研究所研究員)

第20回(2019年3月9日)
「文芸投書雑誌『文庫』『新声』にみられる「地方文壇」の青年の共同体意識と「中央文壇」へのまなざしーー小木曽旭晃と入澤凉月の事例を中心にーー」(宮本温子、筑波大学図書館情報メディア研究科博士前期課程)
「日本のサラリーマン規範における手帳文化―昭和戦後期を中心に―」(鬼頭篤史、京都大学大学院人間・環境学研究科研修員)

第19回(2018年12月22日)
「遺書で語ること、遺書を語ることーー藤村操「巌頭之感」をめぐるメディア言説の暴力性」(小泉紀乃・奈良女子大学大学院人間文化研究科博士前期課程)
「日満綴方使節と『綴方日本』ーー「満洲国」の子供が<内地>をどう見ていたのか」(魏晨・名古屋大学人文学研究科博士候補研究員)
特別講演:「佐藤冨五郎日記を体験するー『マーシャル、父の戦場』刊行をめぐる歴史実践」(「金曜調査会」メンバー:今井勇・大川史織・岡田林太郎・柏原洋太・斉藤涼子・中野良・番定賢治・福江菜緒子)

第18回(2018年9月15日)
「1930年代の旧制高等学校における『生きられた教養』 阪谷芳直の〈内面の日記〉より」(渡辺かよ子・愛知淑徳大学教授)
「『吉田得子日記戦後編』出版 女性一代記完結を記念して」(島利栄子・女性の日記から学ぶ会代表、高崎明子・同会会員、西村榮雄・同会会員)

第17回(2018年7月15日)
「中原中也の日記と詩作――長男文也との『生活』」(根来由紀、立教大学大学院)
「現代日本における日記文化研究の社会学的転回:〈日記メディア〉と〈日記行為〉という視点から」(山守伸也、関西大学等非常勤講師)

第16回(2018年5月19日) →参加記録
「戦前の農民運動家・渋谷定輔日記原本と往復書簡」(新藤雄介、福島大学准教授)
「『癩患者の告白』と北條民雄-自己表象の内発性/外発性について」(大野ロベルト、日本社会事業大学)

第15回(2018年3月18日)
『日記文化から近代日本を問う』公開書評会

1. 導入の部:『日記文化から近代日本を問う』の概要説明 田中祐介(明治学院大学)
2. 書評の部:
提題1 和田敦彦(早稲田大学教授)
提題2 松薗斉(愛知学院大学教授)
編者と執筆者からの応答
総合討論
編集者の立場から 岡田圭介(文学通信代表)

第14回(2017年12月16日) →参加記録
「近代日本の子ども向け日記帳いろいろ—日記帳の文化史にむけて—」(柿本真代、仁愛大学講師)
特別講演:「手帳類プロジェクトの現在地―同時代の手帳を用いた私的領域の共有・更新・可能性—」(志良堂正史、「手帳類」プロジェクト代表)

第13回(2017年9月16日)
「受講生の日記からみる夏目漱石の帝大講義――受講ノート調査との接点を視座に」(服部徹也、慶應義塾大学大学院後期博士課程)
「自治体史編さんと日記資料」(河西英通、広島大学教授)

第12回(2017年7月15日)  特集:戦後経済成長期のアイデンティティ変容:農村・女性・エゴドキュメント →参加記録
「高度経済成長期における農村女性の自己表象—生活改善実績発表大会の文集より—」(岩島史、日本学術振興会特別研究員PD)
「高度経済成長期における農村婦人の「主婦」化をめぐって—「家の光家計簿」の成立と展開にみる—」(河内聡子、東北大学助教)

第11回(2017年5月13日)
「研究視座としての『日記文化』の可能性:近代日本における『書くこと』の歴史を問うために」(田中祐介、明治学院大学助教)
「植民地台湾において日記が『国語』教材になるとき:公学校教科書と教授細目を事例として」(大岡響子、明治学院大学非常勤講師、東京大学大学院博士後期課程)

第10回(2016年5月14日)
「凡庸なサラリーマンの肖像と日記――役所勤めの日常と左翼雑誌との瞬間接触点」(新藤雄介、福島大学准教授)
「自己を綴るメディアとしての日記の可能性:「近代日本」の理解を補い、掘り下げ、相対化するために」(田中祐介、明治学院大学助教)

第9回(2016年5月14日)
「「避難所」としての作家の日記―北条民雄の場合―」(大野ロベルト、日本社会事業大学助教)
「近代日本における教員として書くこと・学生として書くこと」(堤ひろゆき、上武大学助教)

第8回(2016年2月27日)
「境界をまたぐ身体――戦前満洲の学生日記にみる中国人青年の学校生活と都市経験」(高媛、駒澤大学准教授)
「誘発する日記―前原大輔〈ある非行少女の日記〉シリーズに見る日記の機能の拡充―」(康潤伊、早稲田大学大学院)

第7回(2015年12月6日)
「銃後日記から「国民意識」をみるということ」(梅藤夕美子、京都大学大学院)
特別講演:「『五十嵐日記』を語る 戦後復興期の古書店文化と青春の日々」(五十嵐智、五十嵐書店店主)

第6回(2015年9月19日)
「近代作家たちによる戦時下の王朝日記受容」(川勝麻里、明海大学ほか非常勤講師)
「歴史史料としての病床日誌――陸軍病院における事例を中心に」(中村江里、関東学院大学ほか非常勤講師)

第5回(2015年7月19日)  特集:〈女学生〉の書記文化を再考する
「少年少女雑誌にみる作文と文体」(嵯峨景子、明治学院大学非常勤講師・国際日本文化研究センター共同研究員)
「奈良女子高等師範学校生の詠み書きと「自己」表象 ―大正大典奉祝歌と校友会誌掲載歌をめぐって―」(磯部敦、奈良女子大学准教授)
「多様な「女学生」の読み書きの実践を探る―白河高等補習女学校生徒の日記帳と佐野高等実践女学校の校友会雑誌から―」(徳山倫子、京都大学大学院)

第4回(2015年5月9日) 特集:近代日本のマス・リテラシー
「教材としての日記:高等小学校生徒の日記を手掛かりとして」(柿本真代、仁愛大学専任講師)
「多声響く〈内面の日記〉:戦時下の第二高等学校『忠愛寮日誌』にみるキリスト教主義学生の心情・信仰・炎上的論争」(田中祐介、明治学院大学助教)
「読書環境の拡大:戦場への書物流通と読み書きの実践」(中野綾子、日本学術振興会特別研究員PD・早稲田大学非常勤講師)

第3回(2015年3月7日)
「個人の財産を社会の遺産に─「女性の日記から学ぶ会」の活動を通して─」(島利栄子、「女性の日記から学ぶ会」代表)
「農民日記をつづるということ─近代農村における日記行為の表象をめぐって─」(河内聡子、宮城学院女子大学非常勤講師)

第2回(2014年12月9日)
「「学徒兵の読書」の相対化にむけて─日記を使用した研究の一例として─」(中野綾子、早稲田大学大学院)
「〈学生〉たちの記録行為─戦後学生運動の現場から─」(道家真平、東京大学大学院)

第1回(2014年9月20日)
「手書きの日記史料群は研究をいかに補い、掘り下げ、相対化するか―国際基督教大学アジア文化研究所蔵『近代日本の日記帳コレクション』を中心に―」(田中祐介、国文学研究資料館機関研究員)