2019年度シンポジウムの開催報告

2019年9月28日(土)、29日(日)に開催しました学際シンポジウム「近代日本を生きた『人々』の日記に向き合い、未来へ継承する」は、おかげさまで延べ約100名がご参加下さる盛会となりました。ご来場くださったみなさま、ありがとうございました。また、ご関心をお持ちくださったみなさま、心より感謝申し上げます。3年間の科学研究費助成事業の締めくくりとしても、学びの多い、意義深い2日間となりました。この成果は活字化して残すべく、次なる作業に取り掛かっています。

3年前のシンポジウムが終了した後、研究会はしばしの休息期間をいただきました。が、今回は年末の12月14日(土)にも開催します! 近日中に詳細をご案内差し上げます。

『日記文化から近代日本を問う』総論のWeb公開(期間限定)

2019年9月28日(土)、29日(日)に開催するシンポジウム「近代日本を生きた『人々』の日記に向き合い、未来へ継承する」に先立ち、田中祐介編『日記文化から近代日本を問う』(笠間書院、2017)の総論「研究視座としての『日記文化』——史料・モノ・行為の三点を軸として」をPDF公開(期間限定予定)します。総論では「史料としての日記」「モノとしての日記」「行為としての日記」を総称して「日記文化」と呼ぶこととしました。

今年9月のシンポジウムの各部は、この三つの視座からの考察をそれぞれ深めるべく構成しました。第1部「日記帳と手帳の文化史に向けて」は「モノとしての日記」に、第2部および第3部「自己をつづることの近代」は「行為としての日記」に、第4部「個人記録に基づく戦争体験の再検証と未来への継承」は「史料としての日記」にあたります。

この機会にお目通し頂き、当プロジェクトの問題意識、成果と課題を知って頂ければ大変嬉しく思います。また総論では、本書に収録した全17本の論考にも言及しました。ご関心のある論考は、本書をお手に取ってご一読頂ければ幸甚です。

総論は下記の書影をクリックすればご覧頂けます。

2019年度シンポジウム開催のご案内

研究プロジェクト「近代日本の日記文化と自己表象」では、これまで科学研究費助成事業の一環として、定期的に研究会を開催して参りました。2017年度からは、「活字化された日記資料群の総合と分析に基づく近代日本の『日記文化』の実態解明」(若手研究B)の研究題目で助成を得て、活動を続けています。

このたび、事業の成果に基づき、より大きな情報発信の機会として、2019年9月28日(土)と29日(日)の二日間、下記の通りシンポジウムを開催する運びとなりました。2016年9月開催のシンポジウムの第2弾ともなります。

参加費は無料で、どなたでもご参加頂けますので、ぜひお気軽にご来場ください。事前申し込みは必須ではありませんが、印刷資料を十分にご用意するために、ご参加の旨をご一報頂けると助かります:nikkiken.modernjapan[アットマーク]gmail.com(代表:田中祐介)。またはこちらのお申し込みフォームをご利用ください。

シンポジウムでは総論に続く計14本の研究報告に加え、特別対談、映画上映、展示企画を設けます。

特別対談は、今年で活動23年を迎えた「女性の日記から学ぶ会」代表の島利栄子さんと、「手帳類」プロジェクトの代表である志良堂正史さんにお願いしました。

映画上映は、大川史織監督による『タリナイ』(https://www.tarinae.com)です。同作品は2019年3月には、アメリカのデンバーでも上映されました。

展示企画は「女性の日記から学ぶ会」の協力を得て「高度経済成長期の日記」展をシンポジウム会場で開催します。加えて、美術大学の現役大学生による、日記の読み解きを主題とした小展示企画もご用意いたします。

以上の企画を含むシンポジウムの概要については、引き続き当ページにてご紹介する予定でおります。みなさま、ぜひ奮ってご来場ください。正式なポスターとチラシが完成いたしましたので掲載いたします(9/2追記)。簡易版のチラシもあわせてご参照ください。

シンポジウムに先立ち、田中祐介編『日記文化から近代日本を問う』(笠間書院、2017)の総論「研究視座としての『日記文化』——史料・モノ・行為の三点を軸として」をPDF公開(期間限定予定)します(9/5追記)。シンポジウムで特別上映をする映画『タリナイ』の広報チラシ(片面)も出来上がりましたので掲示します(9/8追記)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
学際シンポジウム

近代日本を生きた「人々」の日記に向き合い、未来へ継承する

2019年9月28日(土)、29日(日)
明治学院大学白金校舎、本館10階大会議室
特別上映 映画『タリナイ』(大川史織監督)
同時開催「高度経済成長期の日記」展(「女性の日記から学ぶ会」協力)


9月28日(土) 13:00-18:40(開場12:30)
13:00-13:05
開会の辞

13:05-13:25
総論1
「『人々』はいかに、そしてなぜ、日記を綴ってきたか:根源的な問いから日記文化研究を展望する」(田中祐介、明治学院大学)

13:30-15:35
第1部 日記帳と手帳の文化史に向けて  
司会進行:大貫俊彦(千葉工業大学)
「夏期休暇と子どもの日記帳 明治・大正期における定着と展開」(柿本真代、仁愛大学)
「女性と家計簿の近代 モノとしての家計簿の役割にみる」(河内聡子、東北大学)
「昭和戦後期の日本のサラリーマンをめぐる手帳文化」(鬼頭篤史、京都大学)
「手帳類プロジェクトの取り組み 見物から研究へ、私的な記録がひらく可能性」(志良堂正史、「手帳類」プロジェクト代表)

15:35-15:55
ティーブレイク

15:55-17:35
第2部 自己をつづることの近代 教育制度編
  司会進行:新藤雄介(福島大学)
「『六週間現役兵日誌』における軍隊経験 小学校教員はいかにして兵士にならなかったか」(堤ひろゆき、上武大学)
「農村の『模範処女』としての自己表象 戦前・戦中期における県農会立女学校の生徒・卒業生作文に着目して」(徳山倫子、関西学院大学)
「植民地期台湾における綴方教育の展開と教員 『台湾教育』と『第一教育』に着目して」(大岡響子、東京大学大学院)

17:35-17:45
展示企画の紹介
「高度経済成長期の日記展の概要と意義」(吉見義明、中央大学)
「未知の人々の日記を読み、私注をつける」(山田鮎美、武蔵野美術大学学部生)

17:45-18:00
ティーブレイク

18:00-18:40
特別対談
島利栄子(「女性の日記から学ぶ会」代表)・志良堂正史(「手帳類」プロジェクト代表)


9月29日(日)10:00-18:30(開場9:30[午前]、12:30[午後])
10:00-11:55
特別上映 映画『タリナイ』(大川史織監督) 会場:明治学院大学アートホール

12:00-13:00
ランチブレイク

13:00-13:20
総論2
「『人々』の生きた証を留め、活かし、未来へ繋ぐために」(田中祐介、明治学院大学)

13:25-15:05
第3部 自己をつづることの近代 真実と虚構編  司会進行:中野綾子(明治学院大学)
「 自己記述の物語化における取捨選択と変容 漆芸家生駒弘のタイ滞在日記と自伝の比較から」(西田昌之、チェンマイ大学・国際基督教大学)
「自己を書く日記/自己を書く書簡 中村古峡史料群の研究プロジェクトより」(竹内瑞穂、愛知淑徳大学)
「水上勉文学における自己語りの諸相」(大木志門、山梨大学)

15:05-15:25
ティーブレイク


15:25-17:30
第4部 個人記録に基づく戦争体験の再検証と未来への継承  司会進行:中野良(国立公文書館アジア歴史資料センター)
「飢える戦場の自己をつづりぬく 佐藤冨五郎日記における書くことの意思」(田中祐介、明治学院大学)
「映画『タリナイ』上映から一年」(大川史織、映画監督)
「届かなかった手紙 エゴ・ドキュメントのアーカイブズとしての病床日誌」(中村江里、慶應義塾大学)
「戦争体験から高度成長期体験へ 「青木祥子日記」の検討から」(吉見義明、中央大学)

17:30-17:45
ティーブレイク

17:45-18:25

総合討論

18:25-18:30
閉会の辞

国際シンポジウム”The Main current of Personal Document Study in East Asia: Comparative Perspective on Compressed Modernity”

2017年1月15-18日に韓国の全北大学で開催されたシンポジウム、”The Main current of Personal Document Study in East Asia: Comparative Perspective on Compressed Modernity”にお招き頂き、報告をいたしました。シンポジウムの様子は、「近代日本の日記文化と自己表象」研究会(2017年5月13日)にてご報告する予定です。

学際シンポジウム「近代日本の日記文化と自己表象—人々はいかに書き、書かされ、書き遺してきたか—」

科学研究費補助事業(「未活字化の日記資料群からみる近代日本の青年知識層における自己形成の研究」若手研究B、課題番号26770085)の成果公開の一環として、下記の要領でシンポジウムを開催いたします。どなたでもご参加頂けますので、奮ってご来場ください。

チラシはこちらから:日記文化シンポチラシ(送信用)

日記文化シンポ—ポスター(web用)

——————–

学際シンポジウム
近代日本の日記文化と自己表象
―人々はいかに書き、書かされ、書き遺してきたか―

2016年9月17日(土)、18日(日)
明治学院大学白金校舎、本館10階大会議室

アクセス
http://www.meijigakuin.ac.jp/access/
キャンパス案内
http://www.meijigakuin.ac.jp/campus/shirokane/

★同時開催「戦中戦後の日記いろいろ」展 「女性の日記から学ぶ会」協力

□9月17日(土)□

9:30 受付開始
10:00-10:05 開会の辞

10:05-10:30
総論1 日記という「行為」(田中祐介、明治学院大学助教)

10:35-12:05
セッション1:教育装置としての日記、規範化の力学における自己表象
「教育手段としての日記の定着―明治期少年の『日誌』にみる指導と規範」(柿本真代、仁愛大学講師)
「農民日記をつづるということ―近代農村における日記行為の表象をめぐって」(河内聡子、東北大学助教)
「まなざしの往還―生徒から教師への跳躍としての教育実習日誌」(堤ひろゆき、上武大学助教)

12:05-13:05 ランチブレイク

13:05-14:35
セッション2:文学的テクストとしての日記
「堀辰雄における王朝日記の受容」(川勝麻里、明海大学ほか非常勤講師)
「日記は権力を乗り越えうるか―北條民雄と検閲」(大野ロベルト、日本社会事業大学助教)
「性をめぐる教化・窃視・告白―ジュニア向け文庫の〈非行少女の日記〉を中心に」(康潤伊、早稲田大学大学院博士後期課程)

14:45-15:50
セッション3:外地における日記、自己表象とアイデンティティ形成
「境界をまたぐ身体―戦前満洲の学生日記にみる中国人青年の学校生活と都市経験」(高媛、駒澤大学准教授)
「ふたつの言語、ひとつの日記―植民地台湾において日記を綴ること」(大岡響子、東京大学大学院博士後期課程、国際基督教大学アジア文化研究所準研究員)

15:50-16:10 ティーブレイク

16:10-17:40
セッション4:「近代日本の日記文化」を浮き彫りにし、相対化するために
「近現代タイの日記文化」(西田昌之、チェンマイ大学専任講師)
「日記研究の日欧比較の一視座―心理療法学を学んだ経験から」(宮田奈々、オーストリア科学アカデミー近現代史研究所客員研究員)
「前近代の日記の”発生”について―比較文化史の視点から」(松薗斉、愛知学院大学教授)

17:50-18:30
特別対談「個人の記録を社会の遺産に」(島利栄子、「女性の日記から学ぶ会」代表)
聞き手:田中祐介

□9月18日(日)□

10:00-10:05 二日目挨拶

10:05-10:25
総論2 日記という「遺産」(田中祐介、明治学院大学助教)

10:30-12:00
セッション5:教養共同体における読書と日記
「読書文化の桎梏と日記―役人の教養と鬱屈」(新藤雄介、福島大学准教授)
「多声響く〈内面の日記〉―第二高等学校『忠愛寮日誌』にみる戦時下キリスト教主義学生の煩悶吐露と炎上的論争」(田中祐介、明治学院大学助教)
「学徒兵の読書日記―学徒兵遺稿集と阿川弘之『雲の墓標』をめぐって」(中野綾子、早稲田大学非常勤講師、日本学術振興会特別研究員PD)

12:00-13:00 ランチブレイク

13:00-14:05
セッション6:歴史資料としての可能性
「歴史資料としての病床日誌―陸軍病院における事例を中心に」(中村江里、一橋大学特任講師)
「銃後日記から「国民意識」をみるということ」(梅藤夕美子、京都大学大学院博士後期課程)

14:15-15:45
セッション7:〈女学生〉の文体獲得と書記行為
「少年少女雑誌にみる作文と文体」(嵯峨景子、明治学院大学非常勤講師)
「奈良女子高等師範学校生の詠み書きと「自己」表象―大正大典奉祝歌と校友会誌掲載歌をめぐって」(磯部敦、奈良女子大学准教授)
「〈女学生〉の書記行為を再考する―白河高等補習女学校生徒の日記帳と佐野高等実践女学校校友会誌から」(徳山倫子、京都大学大学院博士後期課程、日本学術振興会特別研究員DC2)

15:45-16:05 ティーブレイク

16:05-17:35
総合討論

17:35-17:40 閉会の辞

■参加費無料、どなたでもご参加頂けます
■事前申し込みは不要ですが、配付資料の準備の都合上、ご参加の旨をご一報頂けると助かります:nikkiken.modernjapan[アットマーク]gmail.com(代表:田中祐介)