2019年度シンポジウム開催のご案内

研究プロジェクト「近代日本の日記文化と自己表象」では、これまで科学研究費助成事業の一環として、定期的に研究会を開催して参りました。2017年度からは、「活字化された日記資料群の総合と分析に基づく近代日本の『日記文化』の実態解明」(若手研究B)の研究題目で助成を得て、活動を続けています。

このたび、事業の成果に基づき、より大きな情報発信の機会として、2019年9月28日(土)と29日(日)の二日間、下記の通りシンポジウムを開催する運びとなりました。参加費は無料で、どなたでもご参加頂けますので、ぜひお気軽にご来場ください。事前申し込みは必須ではありませんが、印刷資料を十分にご用意するために、ご参加の旨をご一報頂けると助かります:nikkiken.modernjapan[アットマーク]gmail.com(代表:田中祐介)。またはこちらのお申し込みフォームをご利用ください。

シンポジウムでは総論に続く計14本の研究報告に加え、特別対談、映画上映、展示企画を設けます。

特別対談は、今年で活動23年を迎えた「女性の日記から学ぶ会」代表の島利栄子さんと、「手帳類」プロジェクトの代表である志良堂正史さんにお願いしました。

映画上映は、大川史織監督による『タリナイ』(https://www.tarinae.com)です。同作品は2019年3月には、アメリカのデンバーでも上映されました。

展示企画は「女性の日記から学ぶ会」の協力を得て「高度経済成長期の日記」展をシンポジウム会場で開催します。加えて、美術大学の現役大学生による、日記の読み解きを主題とした小展示企画もご用意いたします。

以上の企画を含むシンポジウムの概要については、引き続き当ページにてご紹介する予定でおります。みなさま、ぜひ奮ってご来場ください。正式なポスターとチラシが完成いたしましたので掲載いたします(9/2追記)。簡易版のチラシもあわせてご参照ください。

シンポジウムに先立ち、田中祐介編『日記文化から近代日本を問う』(笠間書院、2017)の総論「研究視座としての『日記文化』——史料・モノ・行為の三点を軸として」をPDF公開(期間限定予定)します(9/5追記)。シンポジウムで特別上映をする映画『タリナイ』の広報チラシ(片面)も出来上がりましたので掲示します(9/8追記)

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学際シンポジウム

近代日本を生きた「人々」の日記に向き合い、未来へ継承する

2019年9月28日(土)、29日(日)
明治学院大学白金校舎、本館10階大会議室
特別上映 映画『タリナイ』(大川史織監督)
同時開催「高度経済成長期の日記」展(「女性の日記から学ぶ会」協力)


9月28日(土) 13:00-18:40(開場12:30)
13:00-13:05
開会の辞

13:05-13:25
総論1
「『人々』はいかに、そしてなぜ、日記を綴ってきたか:根源的な問いから日記文化研究を展望する」(田中祐介、明治学院大学)

13:30-15:35
第1部 日記帳と手帳の文化史に向けて  
司会進行:大貫俊彦(千葉工業大学)
「夏期休暇と子どもの日記帳 明治・大正期における定着と展開」(柿本真代、仁愛大学)
「女性と家計簿の近代 モノとしての家計簿の役割にみる」(河内聡子、東北大学)
「昭和戦後期の日本のサラリーマンをめぐる手帳文化」(鬼頭篤史、京都大学)
「手帳類プロジェクトの取り組み 見物から研究へ、私的な記録がひらく可能性」(志良堂正史、「手帳類」プロジェクト代表)

15:35-15:55
ティーブレイク

15:55-17:35
第2部 自己をつづることの近代 教育制度編
  司会進行:新藤雄介(福島大学)
「『六週間現役兵日誌』における軍隊経験 小学校教員はいかにして兵士にならなかったか」(堤ひろゆき、上武大学)
「農村の『模範処女』としての自己表象 戦前・戦中期における県農会立女学校の生徒・卒業生作文に着目して」(徳山倫子、関西学院大学)
「植民地期台湾における綴方教育の展開と教員 『台湾教育』と『第一教育』に着目して」(大岡響子、東京大学大学院)

17:35-17:45
展示企画の紹介
「高度経済成長期の日記展の概要と意義」(吉見義明、中央大学)
「未知の人々の日記を読み、私注をつける」(山田鮎美、武蔵野美術大学学部生)

17:45-18:00
ティーブレイク

18:00-18:40
特別対談
島利栄子(「女性の日記から学ぶ会」代表)・志良堂正史(「手帳類」プロジェクト代表)


9月29日(日)10:00-18:30(開場9:30[午前]、12:30[午後])
10:00-11:55
特別上映 映画『タリナイ』(大川史織監督) 会場:明治学院大学アートホール

12:00-13:00
ランチブレイク

13:00-13:20
総論2
「『人々』の生きた証を留め、活かし、未来へ繋ぐために」(田中祐介、明治学院大学)

13:25-15:05
第3部 自己をつづることの近代 真実と虚構編  司会進行:中野綾子(明治学院大学)
「 自己記述の物語化における取捨選択と変容 漆芸家生駒弘のタイ滞在日記と自伝の比較から」(西田昌之、チェンマイ大学・国際基督教大学)
「自己を書く日記/自己を書く書簡 中村古峡史料群の研究プロジェクトより」(竹内瑞穂、愛知淑徳大学)
「水上勉文学における自己語りの諸相」(大木志門、山梨大学)

15:05-15:25
ティーブレイク


15:25-17:30
第4部 個人記録に基づく戦争体験の再検証と未来への継承  司会進行:中野良(国立公文書館アジア歴史資料センター)
「飢える戦場の自己をつづりぬく 佐藤冨五郎日記における書くことの意思」(田中祐介、明治学院大学)
「映画『タリナイ』上映から一年」(大川史織、映画監督)
「届かなかった手紙 エゴ・ドキュメントのアーカイブズとしての病床日誌」(中村江里、慶應義塾大学)
「戦争体験から高度成長期体験へ 「青木祥子日記」の検討から」(吉見義明、中央大学)

17:30-17:45
ティーブレイク

17:45-18:25

総合討論

18:25-18:30
閉会の辞

「近代日本の日記データベース」の公開準備

当研究プロジェクトの一環として、明治以降に綴られ、出版された日記のデータベース化を進めています。まずは戦時下の日記から、そして現在では、戦後日本の日記を対象としています(明治から昭和戦中期はその後に)。データベースは検索可能な形で一般公開できるよう、サンプルデータの500件を入れ、専門家の協力を得ながら、まずはβ版としての公開を目指して試行錯誤しています。

試しにサンプルデータに基づき、「1945年8月」を指定して検索すると、現状では190件がヒットします。

検索した結果はこの画像のように表示されます。各項目につき、日記の概要とともに、「記入者氏名」「性別」「生年月日」「日記記入開始時の年齢」「記入期間」「社会的立場」等が表示されます。「記入場所」もデータでは取っていますが、公開前にもう少し整理が必要でしょう。

まだ日記の数も増えますし、作家の日記など著名で含まれていないものもあります。データは「記入開始日」と「記入終了日」で取っているため、例えば8月15日の日記を見ようとして、ヒットした日記に当日の記述があるとは限りません。

検索結果の個別データの表示は、ひとまず以下のような感じです(明村宏『お父さんが子供で戦争のころ』毎日新聞社、1972) 

項目名はデータ入力時のままですので、「職業、学校名」など、まだ整理と更新の必要があります。

出版された日記には、同一人物による異なる時期の日記や、複数名や大勢の日記を集めたアンソロジーもあります。データベース化に際しては、収録された個別の日記を独立したデータとして取りました。そのため例えば河邑厚徳編『昭和二十年八月十五日 夏の日記』(角川文庫、1995年)の一冊は、全109冊、すなわち全109件のデータとして扱います。一例を掲示すれば以下の通りです。

入力漏れもあるでしょうし、入力済みのデータにも訂正・更新すべき点は多々あるかと思いますが、幅広い利用環境を実現するために、準備を進めて参ります。また公開の暁には、当ウェブサイトでご案内いたします。

最後の写真はデータベース化作業の模様(2018年1月)。2016年3月に試験的な実施をし、その後は『日記文化から近代日本を問う』(2017年12月)の刊行後から本格的に取り組んでいます。協力者は入れ替わりもありながら、20代から40代が中心です。もう作業を離れた方々もいますが、心から感謝しています。