第26回研究会のご案内

新型コロナ第三波の行末が気になる最近ではありますが、お元気にお過ごしでしょうか。

このたびは12月12日(土)に開催いたします、第26回研究会についてご案内申し上げます。
前回、前々回同様に、今回もZoom(https://zoom.us/jp-jp/meetings.html)によるオンライン開催といたします。

今回はまず、国際基督教大学アジア文化研究所の西田昌之さんにご報告をいただきます。タイ人旅行作家ブンチュワイ・シーサワット(1917-1973)が1951年に出版した旅行記『日本旅行記』を取り上げ、太平洋戦争の開戦直前期の日本滞在における「自己を探す旅」の意味についてご考察くださるとのことです。

続いて年末の特別講演企画として、三人社の山本捷馬さんに、『戦没学徒 林尹夫日記[完全版]―わがいのち月明に燃ゆ―』(三人社、2020、http://3ninsha.com/hayashitadao)について、編集をご担当された立場から、出版に至る経緯と、その際に気づかれた筑摩書房版との日記本文の異同の意味についてお話いただきます。

ご参加いただける場合、お名前とご所属を明記の上、下記アドレスまでご連絡頂ければ幸いです。参加用のURLを設定次第、ご案内いたします:nikkiken.modernjapan(アットマーク)gmail.com(代表:田中祐介・明治学院大学)

師走のご多用の時期とは存じますが、ぜひ奮ってご参加ください。
オンラインながらお目にかかれますことを、心より楽しみにしております。

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「近代日本の日記文化と自己表象」第26回研究会

【開催日時】
 2020年12月12日(土) 13:30-17:30

【開催場所】
Zoomによるオンライン開催

【研究会次第】
 1. 報告と展望(13:30-14:00)
   「近代日本の日記資料データベース」の拡充計画
   国立歴史民俗博物館との共同研究の進捗報告
   朝日新聞からの取材とWeb配信記事
   新刊紹介
   今後の出版計画と研究企画

 2. 研究発表(14:20-15:50)
「歴史の内と外に自己を探す旅 日米開戦前夜を旅したタイ人作家ブンチュワイ・シーサワットの『日本旅行記』から」(西田昌之、国際基督教大学アジア文化研究所研究員)

 3. 特別講演(16:00-17:30)
「戦没学徒兵の日記原文に向き合うこと 『林尹夫日記 完全版』出版経緯とその所感」(山本捷馬、三人社)

第25回研究会のご案内

みなさまお元気にお過ごしでしょうか。
このたびは、8月22日(土)開催の第25回研究会についてご案内を差し上げます。今回もZoom(https://zoom.us/jp-jp/meetings.html)によるオンライン開催です。

おかげさまで前回研究会も盛会となり、対面式の研究会に引けを取らない活発な議論が交わされました。これまで開催地が遠く、なかなかご都合がつかなかったみなさま、あるいは今回が初めてとなるみなさまも、このオンライン企画を契機として、ぜひお気軽にご参加ください。

今回は一橋大学大学院の古畑侑亮さん、明治学院大学の吉岡拓さんがご報告くださいます。

古畑さんは、「随筆を抜書するということ―幕末・明治における「好古家」の編纂物作成の周辺―」と題したご報告です。明治前期の雑誌メディアとの関わりや「好古家」の歴史研究まで視野を広げつつ、随筆の読書形態とそこから得た知識の活用のされ方について考察くださいます。

吉岡さんのご報告題目は、「19世紀に日記をつづるということ-「家の日記」「集団の日記」時代の日記論-」です。「個人の日記」の時代と一般にみなされる近代との連続や断絶も見据え、当該時期の日記の位置についてご検討くださいます。

研究会の場で、みなさまに再会できることを今から楽しみにしております。
ぜひ奮ってご参加ください。

ご参加をご希望される方は、お名前とご所属を明記の上、下記アドレスまでご連絡頂ければ幸いです。参加用のURLを設定次第、ご案内いたします:nikkiken.modernjapan(アットマーク)gmail.com(代表:田中祐介・明治学院大学)

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「近代日本の日記文化と自己表象」第25回研究会

【開催日時】
 2020年8月22日(土) 13:30-17:30

【開催場所】
Zoomによるオンライン会議(参加者は後日、URLをお送りします)

【研究会次第】
 1. 報告と展望(13:30-14:00)
   「近代日本の日記資料データベース」の拡充計画
   国立歴史民俗博物館との共同研究の進捗報告
   新刊紹介
   今後の出版計画と研究企画

 2. 研究発表(14:20-17:30)
「随筆を抜書するということ―幕末・明治における「好古家」の編纂物作成の周辺―」(古畑侑亮、一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程)
「19世紀に日記をつづるということ-「家の日記」「集団の日記」時代の日記論-」(吉岡拓、明治学院大学教養教育センター准教授)

第24回研究会のご案内

新型ウイルスの感染拡大により日常が大きく変わる事態を迎えましたが、みなさまお元気にお過ごしでしょうか。

研究会「近代日本の日記文化と自己表象」も開催延期をしておりましたが、
このたび7月11日(土)に、第24回研究会をオンライン開催することといたしました(Zoom利用)。

今回は愛知学院大学大学院の鈴木乙都さんに、
「戦中戦後における農村出身兵士の時局認識ー愛知県大口町「前田功日記」を事例としてー」と題したご報告をいただきます。
鈴木さんご自身が数年にわたり読み解かれた日記の内容のご紹介と考察が中心となる予定です。

研究報告の後は、「戦時下日記の『並べよみ』の可能性」と題して、
京都大学の鬼頭篤史さん、秀明大学で教鞭をとられる金子元さんから、ご所有の日記をご紹介いただきます。

日が迫ってのご案内となり恐縮ですが、ぜひ奮ってご参加ください。ご参加をご希望される方は、お名前とご所属を明記の上、下記アドレスまでご連絡頂ければ幸いです。参加用のURLを設定次第、ご案内いたします:nikkiken.modernjapan(アットマーク)gmail.com(代表:田中祐介・明治学院大学)

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「近代日本の日記文化と自己表象」第24回研究会

【開催日時】
 2020年7月11日(土) 14:30-17:30

【開催場所】
Zoomによるオンライン会議(参加者には後日、URLをお送りします)

【研究会次第】
 1. 報告と展望(14:30-15:00)
   「データベース 近代日本の日記」(β版)の公開
   新規の科学研究費助成事業の計画
   国立歴史民俗博物館との共同研究
   今後の出版計画と研究企画
   新刊紹介:『戦没学徒 林尹夫日記[完全版] ―わがいのち月明に燃ゆ―』(三人社)、榛葉英治『城壁』(文学通信)ほか

 2. 研究発表(15:10-16:40)
「戦中戦後における農村出身兵士の時局認識ー愛知県大口町「前田功日記」を事例としてー」(鈴木乙都、愛知学院大学大学院)

 3. 戦時下日記の「並べ読み」の可能性(16:50-17:30)
   ・銀行員の日記から(鬼頭篤史、京都大学)
   ・結核予防会医師の戦中・戦後日記から(金子元、秀明大学非常勤講師)

「データベース 近代日本の日記」(β版)の公開

明治から現代までの日記を、執筆期間、記入者氏名、ジェンダー、収録書名から検索できる「データベース 近代日本の日記」(β版)を公開しました。

2006年に急逝された福田秀一氏(国文学研究資料館名誉教授・国際基督教大学元教授)は、数千点にのぼる日記関連資料を蒐集されました。そのうち、2006年までに出版された幕末期以降の活字化日記を対象として、データベース化の作業を行い、登録件数は現在のところ、約850件に至りました。

このたび、志良堂正史さん(プログラマー、「手帳類」プロジェクト代表、https://techorui.jp)のご協力により、研究プロジェクト「近代日本の日記文化と自己表象」のウェブサイトに、検索システムを実装する運びとなりました。試験運転期間を経て、正式公開する次第です。この場を借りて、志良堂さんには心からの感謝をお伝えしたいと思います。

日記の読み解きには、一人の書き手の日記を時系列に読む「つづけ読み」(通読)と、同時期に綴られた複数の書き手の日記を比較して読む「ならべ読み」(併読)があります。検索システムにより、この両方の読み解きを促進できる環境を実現したいというのがそもそもの狙いです。

このデータベースが、近代日本をめぐる諸研究領域および一般的関心に応え、過去を生きた人々の生命の証に繋がる契機となり、延いては歴史理解の深化の一助になるならば、この上ない喜びです。

データベース公開までの経緯と、現状の概要については、こちらをご参照ください。

第23回研究会のご案内

12月14日(土)に開催いたします第23回研究会につき、ご案内申し上げます。

今回は「特集:取り遺された研究リソース 直木賞作家・榛葉英治の日記から」と題した特集企画です。早稲田大学の和田敦彦さんを企画者として、榛葉英治日記の読み解きに携わってきた中野綾子さん(明治学院大学)、河内聡子さん(東北大学)、そして田中の計4名が発表を務めます。

榛葉英治は小説『赤い雪』で1958年に直木賞を受賞しました。しかし現在ではあまり知られず、その作品のほとんどが新刊で入手できません。榛葉の日記と作品を手がかりに、今この作家を扱うことで、何を明らかにできるかを考えます。

今回もみなさまぜひ奮ってご参加ください。研究会はどなたでもご参加いただけますが、会場の都合と資料の部数確保のため、お手数ですが事前に下記アドレスまでご連絡頂ければ幸いです:nikkiken.modernjapan(アットマーク)gmail.com(代表:田中祐介・明治学院大学)

田中祐介

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「近代日本の日記文化と自己表象」第23回研究会

【開催日時】
 2019年12月14日(土) 13:30-17:30

【開催場所】
 明治学院大学白金キャンパス 1号館8階81会議室

【研究会次第】
 1. 報告と展望(13:30-14:00)
   2019年9月27日、28日開催シンポジウムの開催報告
   「近代日本の日記資料データベース」の第一次公開報告
   新刊紹介:細谷昴『小作農民の歴史社会学』(御茶の水書房、2019)
   今後の出版計画と研究企画

 2. 研究発表(14:10-17:30)
 【特集:取り遺された研究リソース 直木賞作家・榛葉英治の日記から】
  「榛葉英治日記 研究の経緯と基本情報」(和田敦彦、早稲田大学教授)
  「逡巡と決心の長期反復から時代を読む 榛葉英治日記からみる戦後小説メディアの変動」(田中祐介、明治学院大学専任講師)
  「榛葉英治『乾いた湖』と映画化 日記の記述から」(中野綾子、明治学院大学助教)
  「釣魚礼讃 「釣り」を書くことの文学的意識と、メディア的需要をめぐって」(河内聡子、東北大学専門研究員)

※会の終了後、希望者は懇親会へ

2019年度シンポジウムの開催報告

2019年9月28日(土)、29日(日)に開催しました学際シンポジウム「近代日本を生きた『人々』の日記に向き合い、未来へ継承する」は、おかげさまで延べ約100名がご参加下さる盛会となりました。ご来場くださったみなさま、ありがとうございました。また、ご関心をお持ちくださったみなさま、心より感謝申し上げます。3年間の科学研究費助成事業の締めくくりとしても、学びの多い、意義深い2日間となりました。この成果は活字化して残すべく、次なる作業に取り掛かっています。

3年前のシンポジウムが終了した後、研究会はしばしの休息期間をいただきました。が、今回は年末の12月14日(土)にも開催します! 近日中に詳細をご案内差し上げます。

『日記文化から近代日本を問う』総論のWeb公開(期間限定)

2019年9月28日(土)、29日(日)に開催するシンポジウム「近代日本を生きた『人々』の日記に向き合い、未来へ継承する」に先立ち、田中祐介編『日記文化から近代日本を問う』(笠間書院、2017)の総論「研究視座としての『日記文化』——史料・モノ・行為の三点を軸として」をPDF公開(期間限定予定)します。総論では「史料としての日記」「モノとしての日記」「行為としての日記」を総称して「日記文化」と呼ぶこととしました。

今年9月のシンポジウムの各部は、この三つの視座からの考察をそれぞれ深めるべく構成しました。第1部「日記帳と手帳の文化史に向けて」は「モノとしての日記」に、第2部および第3部「自己をつづることの近代」は「行為としての日記」に、第4部「個人記録に基づく戦争体験の再検証と未来への継承」は「史料としての日記」にあたります。

この機会にお目通し頂き、当プロジェクトの問題意識、成果と課題を知って頂ければ大変嬉しく思います。また総論では、本書に収録した全17本の論考にも言及しました。ご関心のある論考は、本書をお手に取ってご一読頂ければ幸甚です。

総論は下記の書影をクリックすればご覧頂けます。

2019年度シンポジウム開催のご案内

研究プロジェクト「近代日本の日記文化と自己表象」では、これまで科学研究費助成事業の一環として、定期的に研究会を開催して参りました。2017年度からは、「活字化された日記資料群の総合と分析に基づく近代日本の『日記文化』の実態解明」(若手研究B)の研究題目で助成を得て、活動を続けています。

このたび、事業の成果に基づき、より大きな情報発信の機会として、2019年9月28日(土)と29日(日)の二日間、下記の通りシンポジウムを開催する運びとなりました。2016年9月開催のシンポジウムの第2弾ともなります。

参加費は無料で、どなたでもご参加頂けますので、ぜひお気軽にご来場ください。事前申し込みは必須ではありませんが、印刷資料を十分にご用意するために、ご参加の旨をご一報頂けると助かります:nikkiken.modernjapan[アットマーク]gmail.com(代表:田中祐介)。またはこちらのお申し込みフォームをご利用ください。

シンポジウムでは総論に続く計14本の研究報告に加え、特別対談、映画上映、展示企画を設けます。

特別対談は、今年で活動23年を迎えた「女性の日記から学ぶ会」代表の島利栄子さんと、「手帳類」プロジェクトの代表である志良堂正史さんにお願いしました。

映画上映は、大川史織監督による『タリナイ』(https://www.tarinae.com)です。同作品は2019年3月には、アメリカのデンバーでも上映されました。

展示企画は「女性の日記から学ぶ会」の協力を得て「高度経済成長期の日記」展をシンポジウム会場で開催します。加えて、美術大学の現役大学生による、日記の読み解きを主題とした小展示企画もご用意いたします。

以上の企画を含むシンポジウムの概要については、引き続き当ページにてご紹介する予定でおります。みなさま、ぜひ奮ってご来場ください。正式なポスターとチラシが完成いたしましたので掲載いたします(9/2追記)。簡易版のチラシもあわせてご参照ください。

シンポジウムに先立ち、田中祐介編『日記文化から近代日本を問う』(笠間書院、2017)の総論「研究視座としての『日記文化』——史料・モノ・行為の三点を軸として」をPDF公開(期間限定予定)します(9/5追記)。シンポジウムで特別上映をする映画『タリナイ』の広報チラシ(片面)も出来上がりましたので掲示します(9/8追記)

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学際シンポジウム

近代日本を生きた「人々」の日記に向き合い、未来へ継承する

2019年9月28日(土)、29日(日)
明治学院大学白金校舎、本館10階大会議室
特別上映 映画『タリナイ』(大川史織監督)
同時開催「高度経済成長期の日記」展(「女性の日記から学ぶ会」協力)


9月28日(土) 13:00-18:40(開場12:30)
13:00-13:05
開会の辞

13:05-13:25
総論1
「『人々』はいかに、そしてなぜ、日記を綴ってきたか:根源的な問いから日記文化研究を展望する」(田中祐介、明治学院大学)

13:30-15:35
第1部 日記帳と手帳の文化史に向けて  
司会進行:大貫俊彦(千葉工業大学)
「夏期休暇と子どもの日記帳 明治・大正期における定着と展開」(柿本真代、仁愛大学)
「女性と家計簿の近代 モノとしての家計簿の役割にみる」(河内聡子、東北大学)
「昭和戦後期の日本のサラリーマンをめぐる手帳文化」(鬼頭篤史、京都大学)
「手帳類プロジェクトの取り組み 見物から研究へ、私的な記録がひらく可能性」(志良堂正史、「手帳類」プロジェクト代表)

15:35-15:55
ティーブレイク

15:55-17:35
第2部 自己をつづることの近代 教育制度編
  司会進行:新藤雄介(福島大学)
「『六週間現役兵日誌』における軍隊経験 小学校教員はいかにして兵士にならなかったか」(堤ひろゆき、上武大学)
「農村の『模範処女』としての自己表象 戦前・戦中期における県農会立女学校の生徒・卒業生作文に着目して」(徳山倫子、関西学院大学)
「植民地期台湾における綴方教育の展開と教員 『台湾教育』と『第一教育』に着目して」(大岡響子、東京大学大学院)

17:35-17:45
展示企画の紹介
「高度経済成長期の日記展の概要と意義」(吉見義明、中央大学)
「未知の人々の日記を読み、私注をつける」(山田鮎美、武蔵野美術大学学部生)

17:45-18:00
ティーブレイク

18:00-18:40
特別対談
島利栄子(「女性の日記から学ぶ会」代表)・志良堂正史(「手帳類」プロジェクト代表)


9月29日(日)10:00-18:30(開場9:30[午前]、12:30[午後])
10:00-11:55
特別上映 映画『タリナイ』(大川史織監督) 会場:明治学院大学アートホール

12:00-13:00
ランチブレイク

13:00-13:20
総論2
「『人々』の生きた証を留め、活かし、未来へ繋ぐために」(田中祐介、明治学院大学)

13:25-15:05
第3部 自己をつづることの近代 真実と虚構編  司会進行:中野綾子(明治学院大学)
「 自己記述の物語化における取捨選択と変容 漆芸家生駒弘のタイ滞在日記と自伝の比較から」(西田昌之、チェンマイ大学・国際基督教大学)
「自己を書く日記/自己を書く書簡 中村古峡史料群の研究プロジェクトより」(竹内瑞穂、愛知淑徳大学)
「水上勉文学における自己語りの諸相」(大木志門、山梨大学)

15:05-15:25
ティーブレイク


15:25-17:30
第4部 個人記録に基づく戦争体験の再検証と未来への継承  司会進行:中野良(国立公文書館アジア歴史資料センター)
「飢える戦場の自己をつづりぬく 佐藤冨五郎日記における書くことの意思」(田中祐介、明治学院大学)
「映画『タリナイ』上映から一年」(大川史織、映画監督)
「届かなかった手紙 エゴ・ドキュメントのアーカイブズとしての病床日誌」(中村江里、慶應義塾大学)
「戦争体験から高度成長期体験へ 「青木祥子日記」の検討から」(吉見義明、中央大学)

17:30-17:45
ティーブレイク

17:45-18:25

総合討論

18:25-18:30
閉会の辞

「近代日本の日記データベース」の公開準備

当研究プロジェクトの一環として、明治以降に綴られ、出版された日記のデータベース化を進めています。まずは戦時下の日記から、そして現在では、戦後日本の日記を対象としています(明治から昭和戦中期はその後に)。データベースは検索可能な形で一般公開できるよう、サンプルデータの500件を入れ、専門家の協力を得ながら、まずはβ版としての公開を目指して試行錯誤しています。

試しにサンプルデータに基づき、「1945年8月」を指定して検索すると、現状では190件がヒットします。

検索した結果はこの画像のように表示されます。各項目につき、日記の概要とともに、「記入者氏名」「性別」「生年月日」「日記記入開始時の年齢」「記入期間」「社会的立場」等が表示されます。「記入場所」もデータでは取っていますが、公開前にもう少し整理が必要でしょう。

まだ日記の数も増えますし、作家の日記など著名で含まれていないものもあります。データは「記入開始日」と「記入終了日」で取っているため、例えば8月15日の日記を見ようとして、ヒットした日記に当日の記述があるとは限りません。

検索結果の個別データの表示は、ひとまず以下のような感じです(明村宏『お父さんが子供で戦争のころ』毎日新聞社、1972) 

項目名はデータ入力時のままですので、「職業、学校名」など、まだ整理と更新の必要があります。

出版された日記には、同一人物による異なる時期の日記や、複数名や大勢の日記を集めたアンソロジーもあります。データベース化に際しては、収録された個別の日記を独立したデータとして取りました。そのため例えば河邑厚徳編『昭和二十年八月十五日 夏の日記』(角川文庫、1995年)の一冊は、全109冊、すなわち全109件のデータとして扱います。一例を掲示すれば以下の通りです。

入力漏れもあるでしょうし、入力済みのデータにも訂正・更新すべき点は多々あるかと思いますが、幅広い利用環境を実現するために、準備を進めて参ります。また公開の暁には、当ウェブサイトでご案内いたします。

最後の写真はデータベース化作業の模様(2018年1月)。2016年3月に試験的な実施をし、その後は『日記文化から近代日本を問う』(2017年12月)の刊行後から本格的に取り組んでいます。協力者は入れ替わりもありながら、20代から40代が中心です。もう作業を離れた方々もいますが、心から感謝しています。

「近代日本の日記文化と自己表象」第22回研究会のご案内

7月6日(土)に開催いたします第22回研究会の詳細が決まりましたので、ご案内申し上げます。

今回のご報告は、お三方にお願いすることになりました。
まずは前回研究会でもアナウンスした真辺駿さん(東京学芸大学大学院)と、堤ひろゆきさん(上武大学)です。

真辺さんは、小学校教師である長島重三郎(1878-1967)の日記を題材に、長島の自己意識、社会意識を審らかにしてくださると同時に、当時にあって「教師」とはいかなる存在で、地域社会にどのような役割を果たすべきものと位置づけられたかを、社会教育史の文脈で検討くださいます。

堤さんは、大正期の六週間現役兵の日記を扱ってくださいます。これは、田中祐介編『日記文化から近代日本を問う』(笠間書院、2017)のご論考で検討された大正期の教育実習日記(「近代日本の日記帳コレクション」所収、資料番号39-1:http://diaryculture.com/database/)の続編となるものです(資料番号39-2)。他の六週間現役兵の日記と比較しながら、日記の点検者である教官とのやりとりの意味を含め、この日記の特徴を考察してくださいます。

更に今回は、卒業論文の制作に取り組まれている立教大学文学部の長藤菜々さんにもご報告いただくこととしました。研究会の前半に特別枠を設け、有明淑の日記に基づく太宰治の作品「女生徒」について、研究の成果をご報告いただきます。他者の視線による「私」の揺らぎ、世界と「私」とのあいだに差し挟まれるさまざまな「フィルター」の機能、遠くにあって手の届かないものにしか「幸福」を感じることができない主人公の感受性などを、明らかにしてくださるそうです。

今回はご報告をお三方にお願いするに伴い、研究会の開始時刻を30分早め、13時としました。ご来場の際には、この点にご注意ください。

今回もみなさまぜひ奮ってご参加ください。研究会はどなたでもご参加いただけますが、会場の都合と資料の部数確保のため、お手数ですが事前に下記アドレスまでご連絡頂ければ幸いです:nikkiken.modernjapan(アットマーク)gmail.com(代表:田中祐介・明治学院大学)

それでは、会場でお目にかかることを心より楽しみにしております。

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「近代日本の日記文化と自己表象」第22回研究会

【開催日時】
 2019年7月6日(土) 13:00-18:00

【開催場所】
 明治学院大学白金キャンパス 1号館8階81会議室

【研究会次第】
 1. 報告と展望(13:00-13:20)
   「近代日本の日記資料データベース」の第一次公開
   2019年9月28日、29日開催シンポジウムの詳細
 
 2. 研究発表1(13:30-14:40)
   「幸福は一夜遅れてやってくる––太宰治「女生徒」論––」(長藤菜々、立教大学文学部学部4年生)   
 3. 研究発表2(14:50-18:00)
   「大正期における社会教育と小学校教師―「長島重三郎日記」を手がかりに―」(真辺駿, 東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科博士課程)
   「六週間現役兵の軍隊経験-『軍隊日誌』の記述と体裁から-」(堤ひろゆき, 上武大学ビジネス情報学部専任講師)

※会の終了後、希望者は懇親会へ