『日本近代文学』第99集で『日記文化から近代日本を問う』をご紹介頂きました。

『日本近代文学』第99集(2018年11月刊行)にて、田中祐介編『日記文化から近代日本を問う』をご紹介いただきました。竹内瑞穂さん(愛知淑徳大学准教授)によるご紹介です。

「『日記』論とは、これほど多様な領域に開かれているのか。そんな感慨を覚える」「近代日本の日記文化については、近年その『国民教育装置』としての側面が批判的に論じられてきたわけだが、本書はそうした側面にも目配りをしつつ、その枠組みを時に突き抜けてしまう個々の〈書くこと〉への欲望を捉えようとしていく。ここには近代日本で『日記』を綴るということ、さらには〈書くこと〉にはどのような意味と可能性があったのかを問い直す手がかりが溢れているといえるだろう」。

本書の問題意識と狙いを汲み取ってくださり、心より感謝申し上げます。

『史学雑誌』127編第5号(2018年6月)の「回顧と展望」で『日記文化から近代日本を問う』が取り上げられました。

『史学雑誌』の127編第5号(2018年6月)「回顧と展望」特集号で田中祐介編『日記文化から近代日本を問う』(笠間書院)を取り上げていただきました。嬉しいことに、近代編の「総説」(真辺将之氏執筆)、「10 メディア」(渡辺桂子氏執筆)の二項に本書が登場します。

「総説」(同誌152頁)では、「私文書にかかわるものとしては、日記を題材にした総合的研究として田中祐介編『日記文化から近代日本を問う』(笠間書院)が出た。学校教育での日記執筆週間の育成や、他国との比較など多様な視角から、歴史学を含む諸分野の研究者が日記を分析している。その分析の多様さからは、日記を読み解く研究者の日記との向き合い方の重要性が逆照射される」と評して頂きました。

「10 メディア」(同誌176頁)では、「読者ー読書文化研究の論点は、田中祐介編『日記文化から近代日本を問う』でも対象を変え共有される。本書は書記文化全体を射程に入れ、史料・モノ・行為としての日記文化を分析、制度的背景や規範性にも切り込み、現時点でのひとつの到達点といえる」と評して頂きました。

どちらも本書の趣旨を汲み取った上での評価を頂き、嬉しいことです。お言葉を励みに、研究活動を促進して参ります。

『図書新聞』2018年7月21日号「読書アンケート」で『日記文化から近代日本を問う』が取り上げられました。

『図書新聞』2018年7月21日号の「読書アンケート」で田中祐介編『日記文化から近代日本を問う』(笠間書院)が取り上げられました。

2018年度上半期の書籍・雑誌等の中から印象に残った3点を選ぶ、というアンケートで、近代日本言語史の安田敏朗さん(一橋大学)が本書を選んで下さいました。「時代、書き手、目的の異なるさまざまな日記を素材に多様な議論がなされている。他人の書いた日記はのぞいてみたいものなので、それぞれに興味深い。今後は、「書かされ」ること、それを含めたリテラシーのあり方についていま一歩踏み込んだ展開を期待したい」とのお言葉をいただきました。

「書かされる」ことを含む「行為としての日記」は、本書の総論でも取り扱い、第一部「自己を綴ることの制度化」を中心に掘り下げた主題でもあります。が、視角としては比較的新しいだけに、本格的な考察はまだまだこれからでもあります(3月の書評会でも、今後ますます掘り下げて欲しいとのご指摘を頂きました)。叱咤激励のお言葉と捉え、精進して参ります。